持続可能な森林経営
先日、新潟大学の村上先生のお誘いで農学部の開講科目『持続可能な森林経営演習』にご協力する機会をいただきました。
結果、実際に学生さんの考えを聞き大いに刺激を受けました。
私は実際に県産木材を使っている建築会社として、いわゆる川下側。まずは、現在木工事中の藤見町の現場を学生さんに見ていただき、そして、その場で使っている事例等交えて県産木材を使っている、考えを発表、そして、それを受けて学生さん各々が発表するという、大学の開講科目に恐れながら参加させていただいた次第です。
現場での見学研修時も学生さんから、質問があり、その真剣さをまじまじと感じ、こと建築学部ではない生徒さんが、建築の知識まで興味深く学ぶ姿勢に驚きと敬意を感じ、ある意味新鮮な感じも...。
そして、先日参加した学生さんたちの『持続可能な林業経営』に対してのプレゼンは大変興味深い内容で川下である建築会社として、多く学ぶことがありました。
現在の林業は言うまでもなく厳しい状況下にあることはなんとなく感じている建築会社も多いと思いますが、なぜそうなのかという事を真剣に考えている人は少ないと思います。それが、現在の日本の林業、日本の産業形態の問題点だと思っています。
なぜ日本の林業は衰退しているかといえば、林業従事者の減少ですが、それでは、なぜ、従事者が減ったのかを考える人は多くないと思います。その原因を学生さんはそれぞれの考えを整理、そして、その問題を定義し、次にその改善策を具体策を掲げ定義し、パワ-ポイントを使って各々がプレゼンテ-ションします。その内容の濃さに私は驚きを感じた次第です。この生徒さんがいづれ社会に出て各々の立場で活躍してくれれば、林業の未来は決して暗くないと感じます。
しかし、その為には、少し偉そうですが、私たち川下側である建築会社がもっと、持続可能な林業経営に対して真剣に考えなければならないと感じます。
私自身は現在どうかと問われると決して誇れる行動ではありません。しかしながら、スノ-ビ-チPJ活動などを通じて、林業従事者側である川上側の人たちに会う機会はここ数年多くいただいており、彼らにどうしたら、還元できるのかと考えることは多くあります。
まず、自身ができることは、実際に家を建てるお客様に、新潟県の木材の実態となぜ、県産木材を使うのかを知っていただくことを意識的に話しています。今後は、未来の林業を考えている学生さんたちがいることを伝えていこうと思います。
1人の生徒さんの発表で、どうしたら、林業に関心を持ってくれるかという事で子供たちの教育という視点でのアクセスがありました。非常に興味深く、そして共感できる内容です。
木育という言葉を数年前から聞くことも多くありますが、実際にはどうかというと、例えば、林間授業は建前だけの実際は共同生活実習。また、小中学校の木工課題で出されている課題やその素材は決して新潟県の木材でなく、しかも皆が同じものを作成するなど、十分とは言えない木育授業です。これでは、木を好きになる人などいないでしょう。
しかしながら、とあるイベントなどで、木工体験会などを実施すると親子で参加するなど大変盛況だと聞きます。そうです、現代の子供たちは本物の木に触れることは親が好きでない限りはほとんどないのだと思います。だからこそ、実際に住宅を建てる建築会社が意識して積極的に県産木材を使い、その木材の産地やデザインの意味をクライアント側に丁寧に説明することで、その子供たちが本物に触れることで、興味を持ってくれる子供達もいるのではないかと...。
そして、今後は社会全体として、林業、森林に対して社会全体で育てていくことも必要だと思います。また、そうすることで、新たな雇用も生まれ、そして副産物の産業も生まれると思います。そうしたことを既に実践している地域もあります。
新潟県は約60%の森林資源があるポテンシャルのある県です。その資源を有効に活用するために既に社会人である私たちから、意識を変えていかなければならないと思い、私は積極的に行動していきたいと思います。